放送作家の文章術②すべての「テーマ」は「疑問文」である
- 2020.03.02
- 放送作家の文章術
まずは「何について書くのか」、テーマを考えることから、すべては始まります。
テーマは「主題・主眼」ともいいます。
テレビドラマであれば、たとえば「家族愛」をテーマに、家族をめぐる様々な出来事が、ドラマの中で繰り広げられます。
ですが、一瞬で人の心をつかむ文章は、「家族愛」といったような漠然としたテーマでは、書くことができません。人の心をつかむ文章のテーマには、ある法則があるのです。
その法則をひと言でいうならば、「疑問形」にできるものです。
書店に並ぶベストセラーのテーマは、すべて疑問形にすることができます。
たとえば『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健、ダイヤモンド社)ならば「アドラーの教えとは?」がテーマです。
又吉直樹さんの『火花』(文藝春秋)なら「芸人同士の人間関係とは?」がテーマ、『7つの習慣』(スティーブン・R. コヴィー、キングベアー出版)なら「成功の原則とは?」がテーマです。
それぞれの本は、こうした疑問形のテーマに対して、答えを書く形で一冊の本になっています。
著者はいわば、自問自答しているのです。
こうしたベストセラーだけでなく、多くの文章は「疑問系になるテーマ」が最初にあり、問いの答え=「結論」があります。
そして「なぜその結論に至るのか」を述べる「理由」や、結論を補強する「根拠」や「具体例」など、それらがひとつになって、まとまった文章を形作っています。
つまり、まとまった文章とは、自らの問いについて、自らが考えたことを言葉にして、並べたものです。
これは論理的な文章だけに限りません。
芸術に位置づけられるような詩歌や小説以外のすべての文章、エッセイやブログの記事なども、結局、問いに対する考えを文章化したものです。
ですから最初に「テーマ」を決めなければ、文章は一行たりとも書けません。
あなたの中に、最初から「結論」のあるテーマ=問いでなくとも構いません。
テーマを決めて「文章を書く」ことは、同時に考えることでもあります。
あなたが「考えたい」ことをテーマにすれば、そのテーマについて、より深く考えることもできます。
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