放送作家の文章術⑥書くための「材料」を集めよう
- 2020.03.06
- 放送作家の文章術
「何を」「誰に」「なんのために」伝えるかを明確にしたら、目的に従って材料=情報を集めましょう。
情報とは、問いに対する自分の答え=言いたいことを補足するための「事実」や、他の人の「分析・意見」、「データ」などです。
書き始めたのはいいけど、すぐに書くことがなくなって途方にくれてしまう人がいます。
そうした人は、情報不足のまま、書き始めているからそうなります。
しっかり材料を集めてから、キーボードに向かいましょう。
近年はとくに、情報が世の中に溢れかえっている時代。「情報爆発」「情報洪水」といった言葉もあるほどです。
ですから、いったん情報を集め始めると、情報がなくて困るよりも、多すぎたり、内容が矛盾していたりして困ることのほうが多いはずです。
そんな状況のもとで、効率よく情報を集めるために大切なのが、やはり「テーマ」「ターゲット」「目的」を明確に意識し続けることです。
そうすれば、おのずと必要な情報が、効率よく取捨選択できるようになります。
材料選びの優先順位は、伝えたいことを、「どれだけ強く支えてくれるか」どうかです。
例えば、以下のようなものが考えられます。
*テーマに則した「事実・実例」
*「事実・実例の比較(他人・他社・諸外国)」
*テーマを裏付ける「データ・数字」
*テーマを強調する「引用(名言・格言)」
*テーマと似たような「過去のできごと・物語など」
*よく似たテーマに対する、識者や第三者の「意見」
一方、材料に使うとマイナスの作用をするものもあります。
*根拠の曖昧なもの(噂・ネット情報など)
*偏見や個人的好き嫌いの混ざった意見
*すでに挙げた材料と矛盾する材料
*伝えたいテーマと全く関係のないこと
*意見とは異なる「想像」「推定」
*十分な事実の裏付けがない「独断」「偏見」
*自信のなさ故の「言い訳」や「過度の謙遜」
これらが混ざりこむと、伝える力が弱まるばかりか、かえって逆効果になることさえありますから、気をつけてください。
また、同じような材料があり、どちらか迷ったら「受け手と共有しやすいもの」「オリジナリティがあるもの」「新鮮なもの」「わかりやすいもの」を、比較した上で選択するようにします。
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