放送作家の文章術⑦手持ちの材料だけで書いてはいけない
- 2020.03.07
- 放送作家の文章術
書くための材料は、しっかり集めてください。文章を書くための材料を集めることなく、頭の中にある「手持ち」の材料だけで文章を書こうとするのは、危険です。
手持ちの材料だけで書いたとしても、読者に「新しい情報」を届けることはできないからです。
「新しい情報」とは、読者がそれまで知らなかったこと。どんな雑誌、どんなウェブ、どんな情報源にも、載っていないことです。
そしてそれは、あなただけが発信することができるものです。
あなたが持っている「手持ち」の材料は、既知の情報でしかありません。
世界は、秒単位でアップロードされ、動的平衡を繰り返しています。「手持ち」の材料は、もはや遠い過去のものになっているのです。
「新しい情報」は「あなたが新たに知った情報」と「あなたの既存の知識」の融合で生まれます。
あなたが新鮮な気持ちで面白い、と思った情報が、あなたの既存の知識と融合したとき、誰も知らない=面白い、新しい情報が生み出されます。
ですから、何かを書こうとするときは常に、新しい情報を仕入れてください。その材料が、あなたにとって既知の材料と結びついたときに、それまで世界になかった「新しい情報」になります。
今や巷にあふれる情報の95%を、デジタル情報が占める時代です。これを材料集めに活かさない手はありません。
ただしネット上の情報には、真偽が不確かなものも、数多く存在します。ですから、すべてを鵜呑みにすることはできません。
それでもネット上の情報は「相場観」を養うのに役立ちます。
真剣に読み込まなくても、モニター上の情報を流し読みするだけで、書きたい分野の「全体像」をある程度、把握することができるのです。
たとえば、その業界ではどんなことが常識とされ、どういう価値が大切にされているのか。いまどういうトレンドにあるのか、そうした「相場観=あたり」をとることができるのです。
たとえば「ラーメン」についてのブログ記事を書くとします。
その場合も「いま、どんな味のラーメンがトレンドなのか」「どういう傾向の店が流行っているのか」「ラーメン界の最新トピックはどんなことか」くらいの情報は、たやすくネットで集まります。
そうした現在における「ラーメンに関する様々な相場」、つまり「最新の全体像」を知らないで記事を書くと、読者に「ラーメン好きなら、そのような情報、誰でも知っていることだ」などと思われ、読んでもらえません。
どんな文章を書くにしても、そのジャンルの最低限の知識くらいは集めて「あたり」をとっておきましょう。
ネット情報で「あたり」をとっておけば、どの情報を深く掘り下げていけばよいかもわかってきます。
つまりインターネット情報は、ざっくりした全体像をつかむとともに、書籍や新聞雑誌記事、レポートや白書といった、本格的な情報源へのアプローチのために、利用すればよいのです。
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