放送作家の文章術⑪理解した材料だけを使う
- 2020.03.11
- 放送作家の文章術
注意したいのは、自分の頭でしっかりと理解できた材料だけを使うことです。
ちゃんと咀嚼、消化、吸収したうえで、自分自身の身体から発せられた言葉でないと、書いても読者には決して伝わらないからです。
コピー&ペーストしたインターネットの文章などは、絶対に読者に伝わらないと心得てください。
なぜなら、前後の文脈の中で、押さえようのない違和感を醸し出すからです。
あなたの身体から発せられた文章、それだけが読者の心に届きます。
構成作家はリサーチャーが調べてくれたデータを元に原稿を書くのが普通です。
しかし、私はできるだけ関連の本を読んだり、自分でも調べたりしてから書くようにしています。
調べたことが直接原稿に反映されなくても、理解して書けば、文章に深みが出て、深いメッセージが届くと考えているからです。
ある番組のナレーション原稿で「レオナルド・ダ・ヴィンチは私生児だった」と書いたときは、まったく、それが見ている人の印象に残りませんでした。
しかし、ほかの番組で一字一句、たがわずに「レオナルド・ダ・ヴィンチは私生児だった」と書いたときは、それが見ている人の心に深い印象を残しました。
いったい、その違いはどこにあったのでしょう?
それはダ・ヴィンチの生い立ちについて、私自信が「深く理解して書いたか、どうか」。
深く理解して書いたことで前後の文脈が変わり、「ダ・ヴィンチが私生児だった」事実が、際立ったのです。
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