放送作家の文章術⑮「本論」はメインディッシュである
- 2020.03.15
- 放送作家の文章術
「本論」は「序論」で明らかにした「問い」に対する「答え」のパート。文章全体の7割~8割程度を占めるメインディッシュです。
本論は「自分の主張したいことに沿った根拠や具体例を積み上げていく部分です。
次から次へと、根拠や実例を繰り出し「へえ!」「そう!」「なるほど!」と、読者の心を畳みかけるように動かしていってください。
とはいえ、もっとも苦労するのがこの部分です。
全体の7~8割程度を占める本論で、材料をどう並べれば良いのか、戸惑う人も多いのではないでしょうか。
でも安心してください。
もっとも面倒な、本論での材料の並べ方にも、一定のパターンがあるのです。本論のパターンはこの後、すぐに紹介します。
結論でスッキリまとめる
「結論」は問いに対して明らかにした答えを納得させて読者をスッキリとさせる部分です。
「なるほど、だからああいう答えだったのか」など、念を押す最後のまとめ、「終わりの合図」のようなものだと考えて良いと思います。
ただ、よい文章はここで「読んでよかった」と思わせる、読後感の良さを与えなければなりません。
また読者に行動をうながすのも、この部分の重要な役割です。
結論には様々なパターンがあり、どんなパターンがあるかは、一概にはいえません。
ただ、迷ったときには、もう一度、話を始めたところまで戻って終わるようにしてください。
そうすればスッキリとまとまります。
言語学者で京都大学名誉教授の渡辺実さんは『応用言語学講座・第一巻』(明治書院)の中で、「スタートに戻る形で終わるのが最も快い終結である、とはいえるだろう。文章はそれで輪を成して、自ら閉じた姿となるからである」と書いています。
ただし私は、スタートに戻るといっても、出発点とまったく同じレベルではなく、その少し上に戻るほうをおすすめしたいと思っています。
らせん構造を思い浮かべてください。
ぐるぐると同じところを回っているようでいて、着実に上がっていく。このらせん構造はものごとが進歩するときの理想的な形の一つとされています。
らせん階段を登る人を横から見ていると上に登っていき、らせん階段を一周回って元の位置に戻ってきます。
でも、横から見ていると、元の場所ではなく、元いた場所より「より高い高み」に進んでいるのです。
話の締めくくり、クロージングもこのらせん構造であれば、ベストです。
入り口では半信半疑だった読者が、本文を読んで引き込まれ、クロージングで「なるほど、そういうことだったのか!」と納得するような締めくくり、それがらせんのエンディングです。
たとえば「私は味噌ラーメンが好きだ」で始まった文章の締めくくり。「だから私は、味噌ラーメンが好きなのだ」で終わってもかまいません。
ですが「だから味噌ラーメン以外は、ラーメンではないと私は断言できるのだ」などと、入り口と同じ内容でも、より強い言葉で締めくくれば、より強い印象を読者の心に残すことができます。
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