放送作家の文章術③その文章は誰に届けるのか?
- 2020.03.03
- 放送作家の文章術
「何について書くか」を決めたら、次に「誰に向かって書くのか」つまり「誰に読んでもらう文章なのか」を明確にします。
漠然とした「読者」ではなく、その中でもターゲットを絞り込んでおくのです。
「誰に読んでもらうか」によって、同じテーマでも、切り口や展開が変わってきます。
同じニュースでも、主婦向けの午後のワイドショーと、衛星放送の硬派なニュース番組では、取り上げ方が変わります。
「なぜ中国人は爆買いするのか?」をテーマにしたとしても、ワイドショーでは「日本製の炊飯器やウォシュシュレットが人気だから」となります。一方、硬派なニュース番組では「円安や経済成長著しい中国の富裕層」に注目するでしょう。
文章でも「誰に読んでもらうか」で、テーマに対する答えの導きだし方が変わります。どこに注目するかの切り口、つまり「視点」が変わるためです。
たとえば「エコカー」の魅力について書く場合。
読むのが主婦ならば当然、「燃費の良さ」を強調してガソリン代が、どれだけ節約できるかを書きます。
車好きの男性がターゲットならば「エコカーなのにスポーツカー並みの加速感」といった点を強調するでしょう。
若い男性に向けて書くのならば「彼女に〝へえ地球のこと、考えているのね〟と褒められる」などといった切り口で、エコカーの魅力を訴えてもいいかもしれません。
このように「誰に読んでもらうか」で当然、集める材料も変わりますし、表現の仕方も大きく変わります。
言葉遣いもそうです。
テレビの世界でも、番組ごとに使う言葉の難易度の目安があります。『世界ふしぎ発見!』では「中学生にもわかる言葉」。『情報プレゼンター・とくダネ!』では、「情報源を100%テレビとしている主婦」を想定して、ナレーションを書くのが目安です。
文章も同じです。誰に読んでもらうのか、ターゲット層を設定しましょう。そうでないと、表現がバラバラになったり、ターゲットに理解されない言葉を選んでしまったりします。
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