放送作家の文章術⑭序論・本論・結論の三段構成とは?
- 2020.03.14
- 放送作家の文章術
文章の構成パターンといえば、誰でも思い浮かべるのが「起承転結」ではないでしょうか。
「起承転結」は学校で習うため、多くの人が、その言葉だけは知っています。
「起承転結」はシナリオの構成などには、たしかに役立つでしょう。
ただし、混乱を招きやすい型でもあるため、日常で文章を書くときには、一旦忘れてください。
その代わり、もっとも汎用性のあるパターンを覚えてください。
それが……
序論 → 本論 → 結論
~の3部構成です。
「序論」「本論」「結論」の流れは、小論文などの真面目でお堅い文章のパターンとされています。
ですが実際には、レポートであれブログであれ、企画書・提案書であれ、エッセイであれ、セールスレターであれ、広範囲に応用が可能です。
短い文章でも長い文章でも、まずはこの三つの要素で構成することを覚えましょう。
では、それぞれにどんな材料を置いていけばいいのか、ここから紹介します。
序論でテーマを示す
「序論」はテーマの紹介です。「テーマとは〝問い〟である」と前に書きました。ここではまさに「この文章が、どのような問いを持っているか」を明らかにしておきます。
序論では「テーマ」をしっかりと打ち出せば良いだけです。たとえば……
和食でもないのに〝国民食〟と言われるラーメン。なぜラーメンはここまで日本人に愛されるのか?
~といった「問い」を書きます。
その助走として「先日、大行列ができていたので何かと思ったらラーメン屋だった」「ボストンを訪ねたら、日本のラーメンが大人気だった」などのエピソードを入れてもかまいません。
また「日本人が一年で食べるラーメンは一人平均80杯との調査結果がある」などのデータを助走に使って「問い」を際立ててもよいでしょう。
いずれにしても、この後の「本論」で、その答えを書いていくわけです。
ただビジネスの文章では近年、序論で問いに対して「私の結論はこれこれこれである」といった、結論を示すことを求められるケースが増えてきました。
たとえば「ラーメンはなぜ、国民食となったのか、私は****だからだと考える」といったように「問い+結論」を序論で示すパターンです。
そうして、なぜそういう結論に至ったかを本論で検証していくのです。
ですが、ここで示した結論は、あくまでまだ、なんの立証もされていない仮説です。
この形でも結局、「果たしてこの仮説は正しいのか?」といった、ちゃんとした「問い」になっています。
ちょっとややこしい話ですが、結論を序論に持ってくるか、本論に入れるかは、構造的にはそれほど変わりません。
テレビドラマ「古畑任三郎」シリーズでは、犯人が最初にわかりますが、視聴者は「どんなヒントから事件の真相を暴くのか」を楽しみにドラマを観ます。それと同じような構造であると考えてください。
序論に結論を持ってくるのが、「古畑任三郎タイプ」、結論を最後に持ってくるのが、江戸川乱歩の作品のような「正統派の推理小説タイプ」です。
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