放送作家の文章術⑱本論を「ホールパート法」で並べる
- 2020.03.18
- 放送作家の文章術
続いても、応用性の高い本論のフレームです。
次の主張のような場合、この型を使っていないと、読みにくい文章になってしまいます。
同じ姓は家族の一体性の象徴である。
夫婦別姓を容認すると、子供がいじめられる可能性もあるのではないか。
だから夫婦別姓に私は反対だ。
また日本の伝統的な墓や祖先崇拝の風習がすたれることもあるだろう。誰も守る人のいない、荒れた墓が増えるのだ。
この文章は、夫婦別姓に反対する理由を、思いつくままに書いているようです。
こうした「並列」の理由を並べるときは、最初に「全体像(Whole)」を伝えてから、話の「各パート(Part)」を説明していく「ホールパート(Whole Part)法」を使えば、情報が整理されます。
ポイントは、パートがいくつあるか、その“数”を最初の「全体像」で示すことです。
例えば「理由は3つあります。1つ目は~」のように最初に数を提示して、それからそれぞれのパートを列挙していくのです。
ホールパート法なら、さきほどの文章も、このように整理できます。
夫婦別姓に私は反対だ。理由は3つある。
1.同じ姓は家族の一体性の象徴であること
2.別姓だと子供がいじめられる可能性があること
3.日本の伝統的な墓や祖先崇拝の風習がすたれること
私が夫婦別姓に反対しているのは、以上の理由からだ。
いかがでしょう、ずいぶんスッキリしました。
伝えたい要素をパートにわけて、重要度や時系列に従ったうえで数字をつけて順序付ける。
そしていくつの要素があるかを最初に全体像として示して、最後にもう一度、押さえ直します。
ホールパート法では「今から私は3つのことを書きますよ」と相手に予告します。
そうすることによって、コミュニケーションする相手の頭に、3ページの白紙のメモ帳を用意することができます。
それによって相手の頭には、「3つのポイントとはなんだろう?」といった「フック」がかかり、理解の準備が整います。
読み始めたあとも今、読んでいる文章が、全体の何分の1くらいなのか、わかってもらえます。
ですから、「この文章、いったい、いつまで続くのだろう?」といった疑念も払拭できます。
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